「雨漏りしているので、すぐに見て欲しい」と緊急のご連絡をいただきました。
E様のお宅は、風格ある伝統的な瓦屋根でした。早速、屋根の点検を行ったところ、原因はやはり漆喰の崩れによる雨水の浸入だと判明しました。
漆喰とは?
漆喰は、主に**屋根の棟部(屋根の頂上部分)**に使用される建材です。水酸化カルシウム(消石灰)を主成分とする粘土質の素材で、瓦の目地を埋め、接着する重要な役割を担っています。
なぜ漆喰は崩れるのか?
漆喰は屋根の最も高い位置にあるため、日光、風、雨、雪といった過酷な気象条件に長期間さらされます。
経年劣化: 長期間の気象影響により、漆喰が古くなり、ひび割れや剥がれが生じます。
風の影響: 棟部は特に風の影響を受けやすく、振動や負荷でひび割れが加速します。
雨仕舞いの不備: 漆喰部分の水の流れ(雨仕舞い)が悪いと、雨天時に雨水が直接漆喰を削り、崩れが進行します。
雨漏りの発生: 崩れた箇所から雨水が内部に侵入し始めると、やがて雨漏りにつながります。
漆喰崩れによる雨漏り修理の具体的な工程
漆喰の修理は、慎重さと専門的な技術が求められます。具体的な修理手順は以下の通りです。
準備:劣化した部分の除去と下地の調整
ひび割れている漆喰と、その土台となっている**葺き土(ふきつち)**の一部を取り除きます。
葺き土とは漆喰を塗るための下地となる土のことで、再利用するためすべては取り除きません。
葺き土の表面を均等にならし、漆喰が均一に塗れるように整えます。
漆喰との密着を良くするため、下地をスプレーで湿らせます。
漆喰の塗り付けと整形
漆喰を適量、隙間なく均一になるよう塗り付けます。
専用のコテを使い、漆喰の表面を滑らかにならし、整形します。
この際、**雨水の流れ(雨仕舞い)**をしっかり考慮し、漆喰が多すぎないか確認しながら調整することが重要です。
仕上げ
塗布した漆喰が完全に乾燥すれば、修理完了です。
まとめとご提案
漆喰の修理は、高所での作業となり危険が伴います。また、修理範囲が広範にわたる場合は、屋根全体の点検や補強が必要になるケースもあります。
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