庇に勾配が必要な理由とは?最適な長さについても解説します!

庇の勾配や長さについて疑問を抱えている人は多いでしょう。
この記事では、庇に勾配が必要な理由と、最適な庇の長さについて解説します。
庇の設計において大切なこの2点をしっかりと理解することで、より快適で実用的な住空間を実現することができるでしょう。

□庇に勾配が必要な理由

 
1:雨水と融雪を効率よく排出するため
 
庇に勾配をつける主な理由は、雨水や雪を効率よく排出するためです。
特に、積雪の多い地域では、雪の重さに耐えうる勾配を設けることが重要です。
積雪地帯では、1立方メートルの雪の重さが150kgを超えることもあり、庇がその重さを支えきれなければ、外壁の損傷や最悪の場合、庇自体の崩落につながる恐れがあります。
 
2:建物の耐久性を高める
 
適切な勾配の庇は、建物の耐久性を高めます。
雨や雪が庇上に溜まりにくくなることで、外壁への水分侵入を防ぎ、建物の長期的な保護に繋がります。
施工時には、外壁の強度をはじめとした多くの要素が考慮され、トラブルの発生を未然に防ぐための様々な検証が行われます。
 
3:自然災害に対する対策として
 
最近では、豪雨や豪雪といった異常気象が増加しています。
予想を超える降雨や積雪は、設計時の想定を超える負荷を庇に与えることがあります。
このような状況においても、適切な勾配を持つ庇は、雨水や雪を効果的に排水し、建物を守る役割を果たします。
 

□最適な庇の長さ

 
地域によって、最適な庇の長さは異なります。
 

*東京における最適な庇の長さ

 
例えば、東京では床から庇の高さが3mの場合、庇の先端の長さは約0.9mが適切とされています。
これは、夏至の正午における太陽の高度と、日射の遮蔽効果を考慮した結果です。
 

*北海道における最適な庇の長さ

 
一方、北海道のような高緯度地域では、庇の長さを1.2m程度に設定することが推奨されます。
これは、太陽高度が低く、日射遮蔽のためにより長い庇が必要とされるためです。
また、日射を効果的に遮蔽することは、冷房の使用頻度の減少にもつながります。
したがって、地域の気候条件や建物の位置を考慮したうえで、最適な庇の長さを選択することが重要です。

□まとめ

 
庇に勾配を設ける理由は、雨水や雪の効率的な排出、建物の耐久性の向上、自然災害への対策の3つが挙げられます。
また、最適な庇の長さは地域によって異なり、東京では約0.9m、北海道では1.2m程度が推奨されています。
これらの知識を踏まえ、自らの住まいの環境に合った庇の設計を行うことで、快適で安全な住空間を実現できます。