現場の状況に合わせた屋上防水工事の考え方

屋上防水工事では、「採用する材料や防水層が求める施工条件を、現場で整えること」が基本とされています。たしかに、防水材にはそれぞれ適した下地の状態、気温、湿度、乾燥時間、施工手順などがあります。これらを守ることは、防水性能を確保するうえで非常に重要です。

しかし実際の建築現場では、常に理想的な条件が整っているとは限りません。屋上は日差しや風、雨、湿気の影響を直接受ける場所です。既存の下地が傷んでいたり、水勾配が不十分だったり、排水口まわりに不具合があったりすることもあります。そのため、材料が求める条件をすべて現場側で完璧に整えることは、非常に難しいのが実情です。

防水層だけを見ても十分な工事にはならない

以前は、指定された仕様書通りに防水層を施工すれば、それで防水工事として成立するという考え方が一般的でした。しかし現在では、防水層だけでなく、下地の状態、防水材の種類、端部の納まり、排水計画、仕上げ方法まで一体で考える必要があります。

たとえば、防水材そのものが高性能であっても、下地に水分が残っていたり、立ち上がり部分の納まりが悪かったりすれば、早期の膨れや剥がれ、雨漏りにつながる可能性があります。つまり、防水層だけが要求品質を満たしていても、防水工事全体として十分な性能が確保できるとは限らないのです。

防水工事は「現場が主役」で考えることが大切

防水工事では、材料や工法を先に決めてから現場を合わせるのではなく、まず現場が抱えている問題を正確に把握することが大切です。

下地の傷み具合、既存防水層の種類、雨水の流れ方、排水口の位置、建物の使われ方などを確認したうえで、その現場に適した材料、防水層、工法、仕上げを選ぶ必要があります。

防水工事には「適切な方法」はありますが、すべての建物に共通する絶対的な正解があるわけではありません。現場ごとに条件が異なるため、ケースバイケースで判断することが重要です。

今回の賃貸アパートでも、単に仕様書通りの防水材を選ぶのではなく、既存屋上の下地状態や排水状況、今後の維持管理のしやすさを踏まえたうえで、最も再発リスクの少ない防水計画を検討しました。

結論として、屋上防水工事で大切なのは「どの防水材を使うか」だけではありません。現場の状態を見極め、その建物に合った工法を選び、下地から仕上げまで一体で考えることが、長く安心できる防水性能につながります。

この記事の監修者

株式会社 LOVE STYLE
代表取締役 阿部 泰三

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として工事に携わり30年以上。工事監督などの実績を持つ「株式会社 LOVE STYLE」の代表取締役。

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