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屋根断熱と天井断熱には5つの工法がある
屋根断熱と天井断熱は、断熱材をどこに施工するかによって工法が分かれます。大きく分けると、屋根断熱には2つ、天井断熱には3つの工法があり、全部で5つの施工方法に細分化されます。
それぞれの工法には、作業性や品質管理のしやすさ、コスト、施工時の安全性などに違いがあります。そのため、建物の形状や屋根のつくりに合わせて、適切な工法を選ぶことが大切です。
屋根断熱には、断熱材を下地合板の屋根側に張る「外張り工法」と、屋内側の垂木の間に断熱材を充填する「充填工法」があります。
一方、天井断熱には、断熱材の施工位置によって、桁上に施工する「桁上工法」、桁下に施工する「桁下工法」、天井仕上げ材の上面に施工する「天井直上工法」の3つがあります。
この5つの工法の中で、特に推奨される工法が2つあります。
屋根断熱でおすすめなのは外張り工法
1つ目は、屋根断熱の外張り工法です。
外張り工法をおすすめする理由は、断熱材の下地となる合板を足場として使えるためです。足場が安定することで作業性が良くなり、施工も早く進められます。品質管理もしやすいため、安定した施工が期待できます。
これに対して、屋根断熱の充填工法では、職人が足場や脚立に乗り、上向きの姿勢で断熱材や通気部材を取り付ける必要があります。作業の危険性が高く、施工品質の管理もしづらくなります。
また、外張り工法では、透湿抵抗の高いボード状の発泡系断熱材を使うことが多いため、手間のかかる防湿シートの施工を省ける場合があります。気密処理についても、合板と気密テープを使った比較的施工しやすい「合板気密」で対応できます。
さらに、小屋組みに断熱材が絡まないため、従来の小屋組みの設計を大きく変える必要がありません。構造計画を複雑にしにくい点も、外張り工法のメリットです。
外張り工法のデメリット
ただし、外張り工法にもデメリットはあります。
外張り工法では、通気層を小屋組み用の垂木とは別の通気垂木と合板で形成します。そのため「二重垂木工法」とも呼ばれ、通気垂木や合板の分だけコストがかかります。
また、上棟時の屋外作業が増える点にも注意が必要です。屋根勾配が急な場合は、合板の足場があったとしても作業の危険性が高くなります。
こうした点が問題になる場合は、屋根断熱の充填工法を選択することもあります。
天井断熱でおすすめなのは桁上工法
もう1つのおすすめ工法は、天井断熱の桁上工法です。
桁上工法では、天井とは別に合板を張り、その合板を足場にしながら断熱材と防湿・気密シートを施工します。屋根断熱の外張り工法と同じように、安定した足場を確保できるため、作業性が良いのが特徴です。
同じ天井断熱でも、桁下工法や天井直上工法では、足場や脚立に乗って上向きで作業するのが一般的です。そのため、桁上工法に比べると作業性に難があります。
桁上工法は、照明器具や配線類を桁下の天井裏に設置できる点もメリットです。断熱層、防湿層、気密層に穴を開けにくいため、施工品質を確保しやすくなります。この点は、桁下工法でも同様です。
桁上工法のデメリット
一方で、桁上工法のデメリットは屋外作業が増えることです。屋外作業をできるだけ減らしたい場合は、桁下工法を選択することもあります。
天井直上工法は、天井を施工するだけで済むため、一見すると安価で施工も簡単に見えます。しかし実際には、断熱層、防湿層、気密層を貫通する配線や設備まわりの孔を塞ぐ作業が必要になります。
この処理は手間がかかり、施工品質を確保しにくいという問題があります。
屋根形状によって適した断熱工法は変わる
屋根断熱と天井断熱を選ぶ際は、屋根の形状も考慮する必要があります。組み合わせによっては、断熱材や通気経路の施工に大きな手間がかかるためです。
推奨しにくい組み合わせの1つが、切妻の大屋根と天井断熱です。
切妻の大屋根では、高い天井と低い天井が混在することがあります。低い天井の上に垂れ壁が設けられると、三角形の狭い小屋裏が生じます。天井断熱の場合、この小屋裏は熱的環境の外部となるため、垂れ壁にも断熱材と外壁通気の施工が必要になります。
しかし、狭い三角形の小屋裏側から断熱材や通気層を施工するのは非常に困難です。
このような場合、切妻の大屋根を屋根断熱にすれば、小屋裏が熱的境界の内部になります。そのため、垂れ壁部分への断熱材施工が不要になり、納まりもシンプルになります。
下屋を設ける場合も同様です。下屋まわりは小屋裏が狭く、垂れ壁が生じやすいため、屋根断熱との組み合わせが適しているケースがあります。
寄棟や宝形屋根では天井断熱が有利な場合もある
もう1つおすすめしにくい組み合わせは、宝形屋根や寄棟屋根など、棟の多い屋根と屋根断熱です。
屋根断熱では、棟木と垂木がぶつかる部分を切り欠き、通気経路を確保する作業が必要になります。棟が多い屋根ほど、この作業が増えて施工が複雑になります。
このような屋根形状の場合、天井断熱にすれば、屋根面に通気経路を細かく設ける作業を省くことができます。屋根形状によっては、天井断熱の方が施工しやすく、品質も安定しやすい場合があります。
屋根断熱と天井断熱の併用には注意が必要
最後に注意したいのが、天井断熱と屋根断熱を同じ箇所で併用しないことです。
同じ空間で天井断熱と屋根断熱を併用すると、小屋裏で温度低下や換気不足が起こり、結露を招くおそれがあります。断熱材を増やせば性能が上がるように思われがちですが、断熱ラインや換気計画が不明確になると、かえって不具合につながることがあります。
特に改修工事では、工事費を抑えるために、既存の屋根断熱を壊さずに天井断熱を追加してしまうケースがあります。しかし、このような施工は小屋裏の環境を悪化させ、結露や木部の劣化につながる可能性があるため注意が必要です。
まとめ:断熱工法は施工性・通気・結露対策を考えて選ぶ
屋根断熱と天井断熱は、どちらが常に優れているというものではありません。屋根の形状、小屋裏の広さ、施工時の作業性、通気経路、気密・防湿の取りやすさを総合的に判断して選ぶことが重要です。
断熱工事では、断熱材の性能だけでなく、どこに断熱ラインを設けるか、どのように通気を確保するか、防湿・気密をどのように連続させるかが大切です。
適切な工法を選ぶことで、結露や雨漏りにつながるリスクを抑え、長く安心して暮らせる住まいにすることができます。
屋根材・構造
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