手摺壁の笠木まわりで起こる雨漏りと正しい防水施工の考え方

手摺壁の天端は、雨漏りが発生しやすい箇所のひとつです。

一般的に手摺壁の天端は、下地木材の上に防水紙を張り、その上に固定金具をビスで留め付け、最後に笠木を被せる流れで施工されます。

このとき注意しなければならないのが、天端に開けるビス穴です。

固定金具を留めるためにはビスを打つ必要がありますが、その穴から内部へ雨水が浸入するリスクがあります。そのため、ビス穴まわりの防水処理をどれだけ確実に行うかが重要になります。

下穴シーリングはビス穴内部に充填することが大切

ビス穴からの雨水侵入を防ぐ方法として、下穴シーリングがあります。

正しく施工されていれば効果の高い方法ですが、実際の現場では正しい方法で充填されていないケースも少なくありません。

よく見かける間違った施工例が、ビス頭の周囲だけにシーリング材を塗る方法です。

一見すると防水処理をしているように見えますが、これでは十分な効果は期待できません。いくらビス頭の上に大量のシーリング材を載せても、ビス穴の内部に水の通り道が残っていれば、雨水は内部へ入り込んでしまいます。

大切なのは、ビスを打つ前の下穴内部にシーリング材をしっかり充填することです。

ビス頭のまわりを覆うことよりも、穴の中に水が入らない状態をつくることが重要です。

笠木の継ぎ目を塞ぐだけでは雨漏り対策にならない

シーリング材の充填以外にも、間違った雨漏り修理の施工例を見かけることがあります。

よくあるのが、笠木の継ぎ目にアルミテープを貼ったり、バックアップ材やシーリング材を詰めたりする方法です。継ぎ目を塞いで浸水を防ごうという目的は分かりますが、これは根本的な対策にはなりにくい施工です。

通常、笠木の継ぎ目の下には、笠木の長手方向と直角に捨て板が設置されています。捨て板には溝が切られており、笠木の継ぎ目から入り込んだ雨水を排出できる構造になっています。

つまり、笠木の継ぎ目は「完全に塞ぐ場所」ではなく、「入り込んだ水を正しく排出する仕組みを持たせる場所」と考える必要があります。

笠木は温度変化で伸縮する

笠木の継ぎ目を完全に塞ぐことが難しい理由のひとつに、温度による伸縮があります。

笠木は金属製であることが多く、日差しや気温の変化によって伸び縮みします。夏場は熱で膨張し、冬場は冷えて収縮します。そのため、継ぎ目をアルミテープやシーリング材で完全に塞いだつもりでも、時間が経つと切れたり剥がれたりすることがあります。

だからこそ、笠木まわりには排水の仕組みが必要なのです。

この構造を理解していれば、笠木の継ぎ目にアルミテープを貼るだけのような、効果の薄い補修を避けることができます。

表面を塞ぐよりも水の逃げ道を考えることが重要

手摺壁や笠木まわりの雨漏り対策では、表面の隙間をただ塞げばよいというわけではありません。

ビス穴については、内部にシーリング材を充填して水の侵入を防ぐことが重要です。一方で、笠木の継ぎ目については、入り込んだ雨水を排出する仕組みを妨げないことが大切です。

誤った補修によって排水経路を塞いでしまうと、本来外へ抜けるはずの雨水が内部に滞留し、かえって雨漏りを悪化させてしまうこともあります。

まとめ

手摺壁の天端や笠木まわりは、雨風の影響を受けやすく、雨漏りが起こりやすい箇所です。

ビス穴からの浸水を防ぐには、ビス頭の周囲にシーリング材を塗るだけでは不十分です。重要なのは、ビス穴内部にシーリング材をしっかり充填することです。

また、笠木の継ぎ目は無理に完全密閉するのではなく、捨て板などによる排水の仕組みを理解したうえで補修する必要があります。

雨漏り修理では、見えている隙間を塞ぐだけでなく、雨水がどこから入り、どこへ流れ、どのように排出されるのかを考えることが大切です。正しい納まりを理解して施工することで、手摺壁や笠木まわりの雨漏りリスクを抑えることができます。

この記事の監修者

株式会社 LOVE STYLE
代表取締役 阿部 泰三

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として工事に携わり30年以上。工事監督などの実績を持つ「株式会社 LOVE STYLE」の代表取締役。

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