屋根修理・葺き替え工事は高額になりがちですが、国や自治体の補助金・助成金を活用することで自己負担を大幅に抑えられる可能性があります。本記事では、屋根修理の基礎に加え、最新の情報に基づいた補助金の受給条件、支給金額の目安、申請から受取までの流れを分かりやすく解説します。
目次
屋根修理に補助金・助成金は使えるのか?
「屋根を直したいけれど費用が心配」という方は少なくありません。屋根修理や葺き替えの費用は数十万円〜200万円以上かかるケースもあり、家計への負担は決して小さくありません。
結論から言うと、条件を満たせば国や自治体の補助金・助成金を屋根修理に活用できます。ただし、単なる雨漏り補修や劣化への対処だけでは補助対象外になるケースが多く、「省エネ性能の向上」「耐震性の改善」「耐風性の強化」といった目的に沿った工事であることが条件となります。
補助金と助成金の違い
「補助金」と「助成金」は混同されがちですが、厳密には異なります。補助金は審査に通過した場合に支給され、助成金は条件さえ満たせば基本的に受給できるとされています。自治体によって呼び名が異なりますが、本記事ではどちらも含めて「補助金」として解説します。
補助金・助成金の主な種類5選
屋根修理に活用できる補助金・助成金は、大きく以下の5種類に分類できます。それぞれ目的・対象住宅・補助金額が異なるため、まずは自分の住宅がどの制度に該当するか確認しましょう。
| 種類 | 主な目的 | 補助金額の目安 |
|---|---|---|
| ①長期優良住宅化リフォーム | 住宅の耐久性・省エネ性の向上 | 最大80万円〜160万円 |
| ②省エネ・断熱リフォーム | 断熱性能向上・エネルギー消費削減 | 工事内容による(数万円〜100万円超) |
| ③耐震性能の改善 | 旧耐震基準住宅の安全性向上 | 耐震診断:最大5万円、改修:最大20〜30万円 |
| ④耐風性能の改善 | 瓦屋根の台風・強風被害防止 | 葺き替え:最大約55万円 |
| ⑤自然災害への対応 | 台風・地震・豪雨等の被災支援 | 被害程度・自治体により異なる |
代表的な国の補助金制度を詳しく解説
① 長期優良住宅化リフォーム推進事業
国土交通省が実施するこの制度は、既存住宅の耐久性・省エネ性・耐震性など複数の性能を総合的に高めることを目的とした補助事業です。屋根工事の場合、以下のような工事が対象になります。
- 屋根材の軽量化(重い瓦屋根から金属屋根・スレート屋根への葺き替え)
- 劣化を防ぐ屋根・外壁の補修工事(30万円以上の工事)
- 断熱改修工事
- 性能向上工事と合わせた屋根塗装・雨樋交換などの関連工事
補助金額
補助率は工事費用のおよそ3割(1/3)が目安とされており、評価基準型では1戸あたり最大80万円、「長期優良住宅化」の認定を取得する場合は最大160万円と高額です。
申請の主な条件
- 国土交通省に登録している業者のみが申請可能
- 1階部分の床面積が40㎡以上、延べ55㎡以上であること
- 工事前にインスペクション(建物状況調査)の実施が必要
- リフォーム後に一定の住宅性能基準を満たすこと
② 住宅省エネ2026キャンペーン(みらいエコ住宅2026事業)
国土交通省・環境省・経済産業省の3省連携で実施される大型補助事業の総称です。2025年度の「子育てグリーン住宅支援事業」の後継制度として創設された「みらいエコ住宅2026事業」では、省エネリフォームについて全世帯が対象となっています。
屋根に関連する対象工事の例
- 屋根・天井の断熱改修工事(断熱材の設置・追加)
- 葺き替えと同時に行う断熱材設置工事
- 遮熱・断熱塗料を使った省エネ屋根塗装(他の省エネ工事との組み合わせが必要な場合あり)
- 天窓の断熱性能向上工事(先進的窓リノベ2026事業との組み合わせも可能)
補助金額
リフォームでは最大100万円の補助を受けられる可能性があります。新築ではGX志向型住宅で最大125万円(寒冷地域)の補助が設定されています。補助額はリフォーム工事の内容・省エネ性能の改善度合いに応じて変動します。
③ 耐震診断・耐震改修の補助制度(住宅・建築物安全ストック形成事業)
1981年(昭和56年)5月以前の旧耐震基準で建てられた住宅を対象に、専門家による耐震診断と改修工事の費用の一部を補助する制度です。屋根の軽量化は耐震性の向上にも直結するため、この制度の対象になるケースがあります。
主な申請条件
- 昭和56年5月以前の旧耐震基準で建てられた木造住宅
- 木造部分が2階以下かつ地上3階建て以下
- 自治体が指定する専門家による耐震診断を受けること
- 改修後の耐震判定値が1.0以上になること
補助金額の目安
耐震診断で最大5万円、耐震改修で最大20〜30万円が支給される例が多く見られます。補助額は自治体ごとに異なります。
④ 瓦屋根の耐風性能改善に関する補助制度
令和3年(2021年)にスタートした比較的新しい補助制度で、相次ぐ台風による瓦屋根被害を受けて創設されました。令和4年には建築基準法が改正され、瓦の固定方法が強化されたことも背景にあります。
主な申請条件
- 令和3年以前に着工された旧基準の瓦屋根であること(ガイドライン工法が採用されていない屋根)
- 耐風診断を受け、基準を満たしていないと診断された屋根であること
- 申請窓口は主に市区町村
補助金額
屋根の耐風診断で最大約2万円、葺き替え費用として最大約55万円が支給されます。ただし、この補助事業に取り組んでいる自治体がまだ少ない点に注意が必要です。
自治体の補助金・助成金について
国の制度に加え、多くの都道府県・市区町村が独自の補助金・助成金制度を設けています。内容は自治体ごとに大きく異なるため、お住まいの市区町村のホームページや窓口で最新情報を確認することが必要です。
自治体補助金の特徴
- 省エネリフォーム・耐震リフォーム・バリアフリー改修など目的ごとに設定
- 補助上限額は数万円〜数十万円と幅広い(省エネ系で東京都では最大36万円程度の例あり)
- 市内の業者を利用することが条件になる場合がある
- 住民税に滞納がないことが条件であることが多い
- 先着順または抽選制で、予算上限に達すると締め切られる
自然災害時の臨時支援制度
台風・地震・豪雪などの大規模災害によって屋根が被害を受けた場合は、自治体が臨時的な助成制度を設けることがあります。また、国が「災害救助法」を適用した場合は、災害見舞金・被災者生活再建支援金などを受け取ることができます。これらは罹災証明書の発行が必須となるため、被害を受けたらすぐに市区町村窓口に相談しましょう。
補助金申請の流れ5ステップ
補助金を確実に受け取るためには、正しい手順で申請を進めることが重要です。手続きを間違えたり、書類に不備があったりすると補助金が受け取れなくなる場合があります。以下のステップを参考にしてください。
- 活用できる補助金・助成金制度を調べる 国の制度(省エネ・耐震・耐風等)と自治体の制度の両方を確認します。住まいの状況(築年数・屋根の種類・家族構成)に合った制度を探しましょう。お住まいの市区町村の窓口やホームページが最も正確な情報源です。
- 補助金制度に詳しい業者を探して相談・見積もりを依頼 国の補助制度(特にみらいエコ住宅2026事業)は、登録事業者のみが申請できます。見積もり取得の際に「この補助金に対応しているか」を必ず確認してください。見積書は申請に必要な書類の一つです。
- 工事着工前に申請手続きを完了させる ほとんどの制度で工事着工前の申請完了が原則です。着工後の申請は認められません。申請書類・見積書・建物関係書類などを揃えて、余裕を持って申請しましょう。
- 工事を実施する 申請が承認されたことを確認してから、工事に着手します。補助金の対象工事内容が確定している場合は、工事中の変更に注意が必要です。
- 完了報告・補助金の受け取り 工事完了後に完了報告書を提出します。審査が通れば補助金が支給されます。制度によっては施工業者が受け取り、後に施主に還元する仕組みもあります。
申請時の注意点・よくある失敗
着工前の申請を忘れた
最も多いトラブルです。補助金の存在を後から知り、すでに着工していたために申請できなかったケースが多く報告されています。工事を検討し始めた段階で補助金の情報収集を始めることが大切です。
予算上限に達して締め切られた
補助金は年度予算で運営されているため、募集期間内であっても予算に達すると受付が終了します。多くの制度は4月〜5月頃に募集が始まりますが、年によっては数ヶ月で締め切られることもあります。早めに動くことが肝心です。
未登録業者に依頼してしまった
国の補助制度の多くは、補助金申請できる登録業者のみが手続きを行えます。未登録業者と契約しても補助金は受け取れません。契約前に必ず登録状況を確認してください。
住民税の滞納があった
自治体の助成金では、申請者や住居の居住者に市区町村税の滞納があると対象外となります。過去に未払いがある場合は精算が必要です。
対象外の工事と勘違いしていた
単純な雨漏り補修や外観上の塗り替えのみでは、補助対象外となるケースがほとんどです。省エネ改修や耐震工事などと組み合わせることで、補助対象に含まれる場合があります。業者と相談しながら工事内容を計画しましょう。
補助金以外に費用を抑える方法
火災保険の活用
台風・強風・雹(ひょう)・大雪などの自然災害による屋根被害は、火災保険(風災補償)を使って修理費用をカバーできる場合があります。保険の適用には、被害の原因が自然災害であることの証明が必要です。被害を受けたらすぐに写真を撮影し、保険会社に相談しましょう。

税制優遇制度の活用
補助金と合わせて以下の税制度も活用できる場合があります。
- 住宅ローン減税(省エネ改修を伴うリフォームローン利用時)
- 投資型減税・所得税控除(自己資金でのリフォーム時)
- 固定資産税の軽減(省エネ・耐震・バリアフリー改修時)
複数制度の組み合わせ
制度によっては複数の補助金や減税制度を組み合わせて申請できます。ただし、同一工事に対して複数の補助金を重複受給することはできません。工事内容ごとに制度を使い分けることが重要です。申請前に自治体や担当窓口に確認してください。
よくある質問(FAQ)
Q. 屋根の塗り替えや部分補修でも補助金は受け取れますか?
単純な塗り替えや部分補修のみでは対象外になるケースが多いです。断熱改修や省エネ工事など、補助金の対象となる工事と組み合わせることで受給できる場合があります。お住まいの自治体や登録業者に相談することをおすすめします。
Q. 補助金の申請はいつまでにすればよいですか?
補助金は自治体の年度予算で運営されているため、予算額に達すると期間中でも締め切られます。また、施工前の事前申請が原則です。リフォームを検討し始めたら、早めに自治体や業者に問い合わせることをおすすめします。
Q. 補助金と助成金は併用できますか?
制度によっては、複数の補助金や減税制度を組み合わせて申請できる場合があります。ただし、同一工事への重複受給は認められていない制度も多くあります。申請前に自治体や担当窓口に必ず確認してください。
Q. 賃貸住宅でも補助金は使えますか?
制度によっては賃貸住宅のオーナーも対象となる場合があります。みらいエコ住宅2026事業では賃貸住宅向けの補助も一部対応しています。詳細は各制度の公式サイトまたは自治体窓口でご確認ください。
Q. 補助金は何年に一度使えますか?
制度によって異なります。同一住宅への複数回の申請を認めていないものもあれば、年度をまたいで再申請できるものもあります。過去に補助金を受けた工事がある場合は、その旨を業者や自治体に伝えて確認しましょう。
Q. アスベスト(石綿)が含まれている屋根材でも補助金の対象になりますか?
地域によってはアスベスト除去工事が補助金の対象となる場合があります。2006年以前に建てられた住宅では使用されているケースがあるため、リフォーム前に専門家による調査を依頼し、お住まいの自治体の補助制度を確認することをおすすめします。
まとめ
屋根修理に使える補助金・助成金は、省エネ・耐震・耐風・長期優良住宅化など複数の種類があります。条件を満たせば数十万円以上の支援を受けられる可能性があり、自己負担を大幅に抑えることができます。
- 補助金は工事前の事前申請が原則。着工後は申請不可。
- 予算上限に達すると期間内でも締め切られるため、早めの行動が重要。
- 国の制度は登録業者のみが申請可能。業者選びの際は登録状況を確認する。
- 自治体独自の制度と国の制度を組み合わせて最大限活用することが節約のポイント。
- 補助金情報は年度ごとに更新されるため、常に最新情報を公式サイト・自治体窓口で確認する。
屋根修理・葺き替えを検討されている方は、まずは現在の住宅の状況を確認し、どの制度が利用できるかを把握することが第一歩です。制度に詳しい施工業者への相談と並行して、お住まいの市区町村窓口にも問い合わせてみましょう。
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