8月下旬になっても厳しい暑さが続き、雨が少しでも降れば…と思う日もあります。
しかし実際には、関東でも突然の豪雨・線状降水帯による災害級の雨が増えており、
「恵みの雨」どころか生活を脅かす被害となるケースも珍しくありません。
こうした気象の不安定さや、光熱費・省エネ・住環境の改善需要の高まりから、
住宅リフォームを検討したり、家の不具合に気づいてお問い合わせをいただくケースが増えています。
今回は、その中でも特に相談の多い「雨漏りの住宅トラブル」について
専門家の視点から詳しくご紹介します。
雨漏りは住宅トラブルの85%を占める深刻な問題
住宅に関するトラブルのうち、実に約85%が雨漏り関連と言われています。
しかし、雨漏りはただの「水の侵入」ではありません。
放置すれば構造材の腐朽、カビ、シロアリ、断熱性能の低下、電気設備への影響など、
家全体の寿命を縮める重大トラブルに発展します。
雨漏りの原因は大きく2つに分類される
現場で多い原因は、次の2つです。
① 雨仕舞いの不備(一次防水・二次防水の問題)
「雨仕舞い(あまじまい)」とは、建物に雨が入り込まないようにする工法の総称です。
雨仕舞いが不十分だと、次のような状況が起こります:
- 屋根材・外壁材の隙間から雨水が入り込む
- サッシ周辺の取り合い部分に不具合がある
- 一次防水を抜けた水が二次防水で排出されず滞留する
- 水の「逃げ道」が作られておらず浸水する
本来、雨水は「入りそうで入らない構造」に作り込むべきですが、
少しでも納まりが悪いとそこが弱点となり、室内への侵入につながります。
特に近年は豪雨の強さ・量が想定を超えており、
従来問題なかった施工部位から侵入するケースも増えています。
② 都市部に増えている「軒ゼロ住宅」の雨漏りリスク
敷地条件が厳しい都市部では、「軒ゼロ住宅」(軒の出がほぼない家)が増えています。
しかし、この軒ゼロ構造には雨漏りリスクが潜んでいます。
軒の役割は非常に大きく、
- 外壁に雨水が直接当たらないようにする
- サッシや換気口周りを雨から守る
- 強風時の吹き込みを軽減する
- 外壁の劣化スピードを遅くする
この「建物を守る傘」のような役割が失われるため、
軒が十分に出ている住宅と比較すると、雨漏りリスクが約5倍に高まるとされています。
近年の住宅はデザイン性や敷地制約で軒ゼロ・軒の短い家が増えていますが、
そのぶん防水処理や雨仕舞いの施工精度が従来よりもシビアになります。
なぜ今、雨漏りトラブルが増えているのか?
◆ 異常気象による「雨の質の変化」
昔と違い、最近の雨は次の傾向があります:
- 1時間あたりの降雨量が極端に多い
- 短時間で集中的に降る「ゲリラ豪雨」化
- 風を伴う横殴りの雨が増加
- 線状降水帯による長時間の豪雨
これらは建物にとって想定以上の負荷となり、
微細な隙間や老朽化した部分からでも雨水が侵入してしまいます。
◆ 築年数の増加とメンテナンス不足
外壁・屋根・防水シートには耐用年数があり、
築15〜25年を過ぎると雨漏りリスクが急増します。
しかし、屋根は自分で確認できないため、
気づかないまま内部が腐食していたケースも多くあります。
まとめ:雨漏りは「原因特定」と「正しい対策」が何より重要
雨漏りの原因は非常に複雑で、外から見える症状と内部の実態が一致しないことも少なくありません。
特に軒ゼロ住宅・ゲリラ豪雨・強風増加など、現代の住宅環境では
従来以上に精密な点検と防水施工が求められます。
もし気になる症状があれば、まずは専門会社に原因調査を依頼してください。
雨漏りは原因を誤ると何度修理しても直らないという悪循環に陥ります。
正しい診断・適切な施工が、住宅を長く守るための最短ルートです。
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