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お客様からのご相談
築25年の鉄筋コンクリート造3階建て賃貸マンションのオーナー様です。この度、最上階の南面軒天(のきてん)に多数のひび割れと白華現象(コンクリート表面に白い固まりができる現象)が生じているため、調査の依頼を受けました。
【白華現象とは】 ひび割れから浸入した水にコンクリート中の水酸化カルシウムが溶け出し、空気中の二酸化炭素と反応して炭酸カルシウムとなり、白い固まりとなって現れる現象です。これは水の浸入を示しており、放置すると鉄筋の腐食・膨張によるコンクリートの破壊(爆裂)につながるため、早急な補修が必要と判断しました。
調査結果:雨水浸入の原因
建物の屋上は陸屋根(平らな屋根)で、既存のシート防水の上に太陽光パネルが設置されていました。外壁はタイル張りです。
現地調査のため屋上に上がると、南面のベランダ上部(居室と接していない低い部分)のシート防水が広範囲にわたり大きく浮いているのが確認できました。浮きを触ると水がたまっており、タプタプとした状態でした。
通常、防水シートの穴から水が浸入すると、浮きを押した際に水や泡が噴き出し、劣化箇所を特定しやすいのですが、今回はその現象は見られませんでした。
【水の浸入経路】
段差への水の滞留: ベランダ上部と居室上部(断熱材があるため高い)の間には段差があり、低いベランダ上部に水がたまりやすい構造になっていました。
逃げ場のない水の経路: たまった雨水は逃げ場がなく、コンクリート下地のひび割れを通じて、軒天へと伝わっていました。
防水層の劣化箇所:
居室上部の段差付近のシートのつなぎ目に隙間が見つかりました。
太陽光パネルが設置された架台の土台まわりにも、直射日光の影響と思われるシートの劣化が見られました。
補修方法の選択と施工
今回は、既存のシート防水を全て張り替えるのではなく、ウレタン塗膜防水を塗布する方法を選択しました。これは、太陽光パネルの架台を外さずに作業が可能であり、架台などの付帯設備を動かす必要がないため、今回の建物状況とコスト、工期を考慮して最適と判断したからです。
施工手順
下準備と既存防水層の撤去
パラペット(立ち上がり部分)のアルミ笠木を取り外しました。
水が入って浮いていたベランダ上部の既存防水シートを、下地から水と一緒にカットし撤去しました。
軒天に通じるひび割れがあるコンクリート下地を、樹脂モルタルで入念に処理した後、プライマーを塗布しました。
ウレタン防水(一層目)の塗布と補強
雨水浸入の原因となったシートの継ぎ目、太陽光パネル架台の土台まわり、防水シートを撤去した部分にウレタン防水材の一層目を塗り込みました。架台まわりのような凹凸部にも馴染みやすく、隙間のない防水層を形成できます。
シートを撤去した部分には、繊維メッシュを入れて補強しました。
パラペットの天端(上部)にもウレタン塗膜を一体となるように塗り付けました。
既存シート上への塗布
雨漏りしていない既存の防水シート上は、高圧洗浄で汚れを除去後、プライマーを塗布しました。
太陽光パネルの架台の下も、潜り込んで丁寧に塗布し、連続した塗膜防水層を形成しました。これは、補修のたびにパネルを外す大規模な工事を避けるためです。
仕上げ
適切な厚みになるようウレタン防水を二度塗りしました。
ウレタン層の紫外線劣化を防ぐトップコートを塗布し、パラペットの笠木を復旧させて完了しました。
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