軒先水切りの未施工が原因で発生したセメント瓦屋根の雨漏り

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ご依頼内容
雨漏り
使用材料
改質アスファルトルーフィング 軒先水切り 瓦桟、縦桟

お客様からのご相談

K様より、2階の居室で雨漏りが発生しているとのご連絡をいただきました。K様のお住まいは、外壁にALC板を使用した築22年の鉄骨造2階建て住宅です。

まず外壁から雨水が浸入している可能性を考え、塗装やシーリングの状態を確認しましたが、外壁まわりに大きな問題は見つかりませんでした。そこで詳しくお話を伺うと、3年ほど前に屋根と外壁の塗装工事を行った際、施工業者にセメント瓦を割られてしまったことがあったそうです。

そのため、屋根まわりを確認するために、壁にはしごを掛けて軒先を目視調査したところ、すぐに原因と考えられる箇所が見つかりました。セメント瓦の下に、本来必要な軒先水切りが設置されていなかったのです。

軒先水切りがないと、瓦の内部へ入り込んだ雨水が正しく外へ排出されず、軒先付近に滞留しやすくなります。弊社でも同じような雨漏り事例を何度か経験していたため、今回も軒先の納まり不良が原因である可能性が高いと判断しました。

K様には、2つの改修方法をご提案しました。1つ目は、屋根全体を粘土瓦へ葺き替える方法です。費用は約200万円ほどかかりますが、既存のセメント瓦は廃番品であり、将来的にはいずれ葺き替えが必要になるため、長い目で見るとおすすめできる工事でした。

2つ目は、軒先部分の割れたセメント瓦と周辺下地だけを改修する方法です。費用は約60万円ほどで、今回はK様がこちらの方法を選ばれました。

工事では、まず軒先から3段分のセメント瓦を剥がしました。すると、防水紙や鼻桟に濡れた跡が残っており、軒先に雨水が溜まっていた可能性が高いことが分かりました。鼻桟とは、瓦と屋根下地のなじみを良くするために、屋根の流れ尻に取り付けられる部材です。

さらに、軒とけらばが交わる隅角部の化粧破風板を剥がすと、内部の破風板が黒ずんで腐朽していました。野地板の先端にも層状剥離が起きており、長期間にわたって雨水の影響を受けていたことがうかがえました。

劣化した破風板を交換するために、破風板と化粧破風板を切断して確認すると、破風板の水下側が濡れて変色していました。この状態から、雨水が破風板と化粧破風板の隙間を通って流れていたことが分かりました。

セメント瓦の内部へ浸入した雨水は、防水紙の上を軒先まで流れていました。しかし、軒先水切りがなかったため、雨水は外部の軒樋へ排出されず、化粧破風板でせき止められてしまいました。その後、破風板との隙間を通って下方へ流れ、壁の内側に入り込み、2階居室の雨漏りにつながったと考えられます。

K様のお住まいは、最近よく見られる軒の出が小さい住宅でした。もし軒の出が十分に確保されていれば、雨水が軒天側から排出され、ここまで大きな被害にはならなかった可能性もあります。軒の出が小さい住宅では、軒先の雨仕舞がより重要になります。

本来の正しい納まりでは、瓦の内部に入り込んだ雨水は、防水紙の下に設置された軒先水切りの上を流れ、化粧破風板の上端を越えて外部の軒樋へ排出されます。今回のように軒先水切りが未施工の場合、雨水の逃げ道がなくなり、屋根下地や破風板、壁内部へ被害が広がってしまいます。

今回の改修では、軒先3段分のセメント瓦を剥がし、既存の防水紙の下へ新しい防水紙を差し込みました。そのうえで、瓦桟、縦桟、軒先水切りを新しく設置し、瓦内部に雨水が入り込んでも外部へ排出できる納まりに改善しました。

腐朽していた破風板や傷んだ野地板の先端も補修し、下地を整えたうえでセメント瓦を復旧しました。これにより、軒先に雨水が溜まらず、軒樋へ自然に排水される状態になりました。

工事後の確認でも、雨水が軒先に滞留する状態は解消され、室内への雨漏りも止まりました。今回の事例では、外壁に問題があるように見えても、実際の原因は屋根の軒先水切りの未施工にありました。雨漏り調査では、表面的な劣化だけでなく、屋根内部の雨水の流れまで確認することが大切です。

お客様の声

外壁ではなく屋根の軒先が原因だとは思いませんでしたが、雨水の流れまで説明してもらえて安心しました。

この記事の監修者

株式会社 LOVE STYLE
代表取締役 阿部 泰三

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として工事に携わり30年以上。工事監督などの実績を持つ「株式会社 LOVE STYLE」の代表取締役。

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