屋根断熱の通気層不足で小屋裏に結露が発生した事例

施工前の写真 通気スペーサー

before

施工後の写真 通気スペーサー

after

ご住所
川崎市の情報を見る
ご依頼内容
雨漏り
使用材料
透湿防水シート 通気垂木 防風層用合板

お客様からのご相談

O様より、雨漏りについてご相談をいただきました。

現地で小屋裏を調査したところ、断熱層に張られている防湿シートの表面に、大量の結露水が付着していることが分かりました。

一見すると雨漏りのようにも見える状態でしたが、調査の結果、外部から雨水が直接浸入したのではなく、屋根断熱部分の通気層不足によって湿気が排出されず、結露が発生した可能性が高いと判断しました。

屋根断熱では、野地板や断熱材に含まれた水分、または室内側から移動してきた水蒸気を、適切に外へ逃がす仕組みが必要です。ところが、O様邸では通気層が十分に確保されておらず、野地板合板などから発生した水蒸気が内部にたまり、防湿シートの表面で結露したものと考えられます。

屋根断熱で重要な5つの層

屋根断熱では、外張り断熱でも充填断熱でも、屋外側から順に以下の5つの層を明確に分けて計画することが重要です。

  • 通気層
  • 防風・防水層
  • 断熱層
  • 防湿・気密層
  • 電気配線・ダクト配管層

この中でも、屋根断熱で特に不具合が起きやすいのが「通気層」です。

通気層がない、または十分に機能していない場合、野地板や断熱材に入り込んだ雨水、建材に含まれた水分、室内側から移動してきた湿気などを外へ排出できません。その結果、屋根内部に湿気が滞留し、結露やカビの発生につながります。

防風層については、使用する断熱材の種類によって省略できる場合もあります。しかし、防水層については断熱材の種類にかかわらず、設けておいた方が安全です。屋根は雨の影響を大きく受ける部分であり、万が一の浸水に備えた二次防水の考え方が欠かせません。

通気スペーサーを使う場合の注意点

充填断熱では、垂木の間に通気スペーサーを設置して通気層を確保する方法があります。

しかし、この工法では施工上の注意点が多くあります。

たとえば、段ボール製などの通気スペーサーを設置していても、繊維系断熱材やウレタン系断熱材を強く詰め込みすぎると、スペーサーが押されて通気層が狭くなってしまうことがあります。

通気層は、ある程度の厚みがなければ空気が十分に流れません。一般的には30mm程度の通気層が必要とされるため、断熱材を充填する際には、通気層をつぶさない施工が求められます。

また、通気スペーサーは形状が変わりにくいものを選ぶことも大切です。施工時に断熱材の圧力で変形してしまうと、図面上は通気層があるように見えても、実際には空気が流れていない状態になることがあります。

防風層の欠損にも注意が必要

繊維系断熱材を使用する場合、通気スペーサーは空気や雨水の侵入を防ぐ「防風層」としての役割も担います。

しかし、屋根断熱材が外壁との取り合い部分で露出しているケースも少なくありません。この状態では、外部から空気や雨水が入り込み、断熱材の性能が低下するおそれがあります。

そのため、通気スペーサーと外壁側の透湿防水シートをしっかり連続させ、防風層の欠損をなくすことが重要です。屋根と外壁の取り合い部分は、雨水の侵入や湿気の滞留が起こりやすい場所であり、特に丁寧な施工が必要になります。

二重垂木工法による改善

垂木間に通気スペーサーを使用する工法は、施工品質によって性能に差が出やすいという難しさがあります。そこで、より確実に通気層を確保する方法として「二重垂木工法」があります。

二重垂木工法では、屋根垂木の外側に防風層を兼ねる合板を張り、その上に通気垂木を設置して通気層を形成します。外張り断熱では標準的に用いられる方法ですが、充填断熱でも応用できます。

合板で防風層をつくることで、断熱材に強く押されても通気層がつぶれにくくなります。また、合板が施工時の足場にもなるため、通気層の施工精度を確保しやすいという利点があります。

さらに、合板の上を透湿防水シートで覆ることで、施工中に雨で合板が濡れるのを防ぎ、屋根の二次防水性能も高めることができます。発泡系断熱材など、防風層が不要な断熱材を使用する場合でも、断熱材自体を透湿防水シートで覆うことで、より安全な納まりになります。

空気の入口と出口を確保することが重要

屋根断熱の通気層は、単に空間をつくるだけでは十分ではありません。

空気の入口、通り道、出口がそろって初めて機能します。

軒先から空気を取り入れるだけでなく、けらば側や棟側からも湿気を排出できるように計画することが大切です。空気の出入口が少ないと、通気層内で湿気が滞留し、今回のように結露やカビが発生する原因になります。

二重垂木工法には、上棟時の屋外作業が増えるというデメリットもあります。その対策として、工場であらかじめ屋根断熱を構成する各層を一体化した屋根断熱パネルを製作し、現場で重機を使って設置する方法もあります。

屋根断熱パネルは、運搬コストや現場での保管場所、躯体の施工精度などの条件が必要になりますが、現場によっては施工品質を安定させる有効な方法です。

今回のO様邸では、雨漏りのように見えた症状の原因が、屋根断熱部分の通気不足による結露であることが分かりました。対策として、通気層の確保、防風・防水層の連続性、空気の出入口の見直しを行うことが重要です。

屋根断熱は、断熱材を入れるだけでは十分ではありません。湿気をためず、雨水を逃がし、空気が正しく流れる構造にすることが、結露やカビを防ぐための大切なポイントです。

お客様の声

雨漏りだと思って不安でしたが、結露の原因や屋根断熱の通気の重要性を説明してもらい、今後の対策が明確になって安心しました。

この記事の監修者

株式会社 LOVE STYLE
代表取締役 阿部 泰三

雨漏り修理・雨桶工事・屋根工事業者として工事に携わり30年以上。工事監督などの実績を持つ「株式会社 LOVE STYLE」の代表取締役。

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