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お客様からのご相談
I様より、雨漏りについてご相談をいただきました。
I様のご自宅は、築13年の鉄骨造3階建ての店舗併用住宅です。1階が店舗、2階と3階が居住スペースとなっており、今回の雨漏りは2階リビングの天井付近に設けられた収納スペースで発生していました。
降雨時になると収納スペース付近から水が染み出してくるとのことで、まずは建物の構造を確認しました。リビングは傾斜天井になっており、屋根は鋼板横葺きの片流れ屋根です。外壁にはALCパネルが使われており、玄関正面にはリビングを挟むように中庭が設けられていました。
I様は昨年、外装の全面塗装工事を塗装業者に依頼されていましたが、雨漏りの症状は改善されなかったそうです。屋根全体を目視で点検したところ、白色に塗装された屋根材には、目立った破損や大きな劣化は確認できませんでした。
散水調査と赤外線調査で水の動きを確認
雨漏りの原因を特定するため、まず雨漏りが発生している収納スペースの真上付近に散水調査を行いました。しかし、その部分に水をかけても室内側への漏水は確認されませんでした。
次に、赤外線サーモグラフィーを使って周辺を確認したところ、雨水が真上からではなく、水平方向に移動しているような反応が見られました。つまり、雨漏りしている場所の真上ではなく、少し離れた部分から雨水が入り込み、屋根下地や防水層の周辺を伝って室内側へ回り込んでいる可能性が高い状態でした。
そこで、けらば部分と中庭の入隅部分を中心に、屋根を部分的に解体しながら詳しく調査することにしました。撤去する屋根材は再利用を前提に、できるだけ傷めないよう丁寧に取り外しました。
屋根下地には耐火野地板が使われており、防水層にはアスファルトルーフィングが施工されていました。防水シートの表面には、雨水があふれたようなオーバーフローの痕跡があり、中庭側のけらば部分にも同様の痕跡が確認されました。ただし、防水シート自体に明確な穴や破れなど、決定的な破損は見当たりませんでした。
雨水が正しく排水されない納まりが原因に
さらに詳しく確認するため、中庭の入隅部分を解体したところ、雨漏りの原因が見えてきました。
大きな原因の一つは、横葺き鋼板の納まりによって、捨て水切りの排水経路が妨げられていたことです。本来、捨て水切りに流れた雨水は、屋根材の上へ排出される必要があります。しかし今回の屋根では、横葺き鋼板が水の流れをふさぐような状態になっており、雨水がスムーズに排水されていませんでした。
けらば部の横葺き鋼板は完全に密閉されているわけではなく、ハゼ部分などにわずかな隙間があるため、ある程度の雨水は流れる構造になっています。しかし、雨量が多いと排水が追いつかず、雨水がせき止められる状態になっていました。
その結果、あふれた雨水がビス穴などから防水シートの下へ入り込み、野地板の継ぎ目を伝って室内側へ達し、2階リビング天井付近の収納スペースに雨漏りとして現れていたと考えられます。
水切りの固定方法にも問題があった
もう一つの原因として、水切りの底面にALCパネル用の釘が直接打ち込まれていたことも確認されました。
本来、捨て水切り同士は適切に重ね合わせ、必要に応じてシーリング処理を行いながら雨水を排出できるように納める必要があります。水が流れる底面に釘を打つと、その釘穴が雨水の浸入口になる可能性があります。
屋根や外壁の板金まわりでは、水の流れを妨げないこと、そして水が流れる部分に穴を開けないことが非常に重要です。今回のように、排水経路がふさがれた状態に加えて、釘穴やビス穴があると、豪雨時に雨水が防水層の下へ入り込みやすくなります。
排水経路を見直して再発防止へ
今回の改修工事では、まずけらば部と中庭入隅部の捨て水切りの納まりを見直しました。雨水が途中でせき止められないよう、捨て水切りを屋根材の上に露出させ、直接排水できる構造へ変更しました。
次に、防水層として改質アスファルトルーフィングを新しく施工しました。万が一、防水シートの上に雨水が回り込んだ場合でも、最終的には横葺き鋼板の上へ排出されるよう、下端の納まりにも注意して施工しました。
最後に、取り外していた屋根材を復旧し、壁際には雨押え板金を設置しました。これにより、外壁との取り合い部分からの吹き込みや雨水の回り込みを防ぎ、雨水が自然に外部へ排出される状態に整えました。
雨漏りは、屋根材の破損だけが原因とは限りません。今回のように、表面上は大きな劣化が見られなくても、板金の納まりや水切りの排水経路、防水シートの端部処理など、構造上の水の流れが原因となることがあります。
特に中庭や入隅、けらば、壁際などが絡む複雑な屋根では、雨水がどこから入り、どのように流れ、どこで排出されるのかを正確に確認することが大切です。
お客様の声











