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お客様からのご相談
築25年になる鉄筋コンクリート造5階建ての賃貸マンションを所有されているお客様より、雨漏りについてご相談をいただきました。
こちらの建物では、以前に一度、大規模修繕工事を実施していました。当時の工事内容は、外壁タイルの浮き補修、サッシまわりや打継目地のシーリング打ち替え、タイル外壁の薬剤洗浄、撥水材の塗布などです。
工事完了後しばらくは問題なく過ごされていましたが、約5年が経過したころ、建物内部で雨漏りが発生しました。雨水は窓サッシの上部から滴り落ちており、外壁側から雨水が浸入している可能性が高い状況でした。
雨漏り箇所の上部にあった斜壁
現地調査を行ったところ、雨漏りしているサッシの上部には、約1メートルほど垂直の外壁があり、そのさらに上には斜めに立ち上がった壁が設けられていました。
この斜壁部分について、過去の大規模修繕工事でどのような処置が行われたのか確認したところ、他の外壁部分と同じように、タイルの薬剤洗浄と撥水材の塗布のみだったことが分かりました。
屋上の陸屋根部分については、防水工事がしっかりと行われていました。しかし、斜壁や笠木まわりには明確な防水処理が施されておらず、実質的には無防水に近い状態でした。
タイル目地の劣化から雨水が浸入
斜壁部分を目視と触診で確認したところ、タイル目地は経年劣化によって痩せており、部分的にはひび割れも見られました。
垂直の外壁であれば、雨水は表面を流れ落ちやすく、撥水材の塗布でも一定の効果が期待できます。しかし、斜壁は雨を受けやすく、通常の外壁よりも水が滞留しやすい部位です。
そのため、タイル目地にひび割れや欠損があると、雨水が内部へ浸入しやすくなります。さらに、斜壁の上部や笠木まわりに防水処理がされていない場合、浸入した雨水が壁体内を伝い、下部のサッシ上部から室内へ漏れ出すことがあります。
今回の雨漏りも、斜壁のタイル目地や笠木まわりから雨水が入り込み、外壁内部を伝ってサッシ上部から室内側へ現れたものと考えられます。
撥水材だけでは防水対策として不十分なことがある
タイル外壁の大規模修繕では、薬剤洗浄や撥水材の塗布が行われることがあります。撥水材は、タイル表面や目地からの水の吸い込みを抑える効果がありますが、防水層そのものではありません。
特に斜壁や笠木、庇上部のように雨水を受けやすい部分では、撥水材だけでは十分な対策にならないことがあります。目地が劣化していたり、ひび割れがある状態で撥水材を塗布しても、雨水の浸入を完全に防ぐことはできません。
今回の建物では、屋上防水は適切に施工されていた一方で、斜壁部分が外壁と同じ扱いになっていたことが問題でした。斜壁は外壁でありながら、屋根に近い条件で雨を受けるため、防水の考え方を取り入れる必要があります。
斜壁と笠木まわりの防水処理で再発を防止
今回の補修では、劣化していたタイル目地やひび割れ部分を補修し、斜壁全体に防水性を持たせる処置を行いました。あわせて、笠木まわりや取り合い部分のシーリングも確認し、雨水が入り込みやすい箇所を重点的に補修しました。
大規模修繕工事では、外壁全体を一律に同じ仕様で処理するのではなく、雨を受けやすい部位、雨水が滞留しやすい部位、取り合いが複雑な部位を見極めることが重要です。
特に斜壁や笠木まわりは、見落とされやすい反面、雨漏りの原因になりやすい場所です。タイルの洗浄や撥水材の塗布だけで済ませるのではなく、建物の形状に合わせて防水処理まで検討することが、雨漏りを防ぐためには欠かせません。
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