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お客様からのご相談
Y様は、3階建ての戸建て住宅にお住まいでした。新築から2年ほど経った夏、1階の和室の畳にカビが生えていることに気づいたそうです。翌年にはさらに状態が悪化し、畳をめくってみると裏側までカビが広がっていました。
施工会社に相談したところ、和室の床をフローリングへ変更する提案を受け、Y様のご負担で工事を行いました。その後、床のカビは一旦解消されたものの、夏になると室内にカビ臭さを感じるようになり、その臭いは年々強くなっていきました。そして昨年の夏には、1階天井の突板にもカビが繁殖していることが確認されました。
再び施工会社に相談したところ、元の施工には問題がなく、有料であれば修理を行うとの説明を受けたそうです。提案された内容は、1階天井裏と室内の温度差を小さくするために、天井裏へ断熱材を入れるというものでした。しかし、Y様は施工会社の対応に不安を感じ、弊社へご相談くださいました。
現地を確認すると、カビが発生していた居室の天井だけでなく、床下の木部や断熱材にもカビが確認されました。さらに、スイッチやコンセント、分電盤まわりから漏気があり、強い空気の流れが室内へ入り込んでいました。その影響で、カバープレートの裏側にもカビが繁殖していました。
ユニットバスの天井裏を確認すると、梁にもカビが発生していました。一方で、2階や3階には同様の被害は見られず、被害は1階に集中していました。さらに詳しく調べると、1階天井裏の梁には水染みがあり、過去に湿気や水分の影響を受けた可能性がある痕跡も見つかりました。また、鉄筋コンクリート基礎の鉄部には著しい錆も確認されました。
これらの状況から、新築工事中に建物の躯体が濡れてしまい、十分に乾燥しないまま工事が進められた可能性が考えられました。その結果、工事中から床下を中心にカビが発生し、適切な処理がされないまま年月が経過したことで、カビ被害が徐々に1階全体へ広がっていったものと思われます。
また、図面上ではユニットバスの基礎部分は基礎断熱と気密化が行われる予定になっていましたが、実際には施工されていませんでした。そのため、床下の湿気を含んだ空気やカビの胞子が、ユニットバス周辺から壁の内部を通り、1階天井裏へ移動したと推定されます。床下にたまった湿った空気が、壁内や天井裏へ大量に回り込んでいた可能性が高い状態でした。
Y様には、まず現在繁殖しているカビを徹底的に除去し、建物全体の湿気環境を改善する修理計画をご提案しました。床下や天井裏の木部、断熱材、エアコンまわりなどは殺カビ処理を行い、木部については表面だけでなく内部まで処理する必要があります。カビの除去が難しい天井材については、張り替えが必要と判断しました。
また、壁内までカビ被害が及んでいる箇所については、壁を一部解体し、殺カビ処理を行ったうえで新たに仕上げ工事を行う必要があります。ユニットバスまわりについては、基礎部分に断熱施工を行い、配管まわりの隙間を埋めて気密性を高めることが重要です。
1階の床と床下の間についても、気密性を高める必要があります。ただし、すでに完成している住宅であるため、工事には制約があります。現実的な方法としては、既存の断熱材を撤去してウレタン吹付断熱を行う方法や、壁の上下端部に気流止めを設置する方法が考えられます。それでも漏気が止まらない場合は、スイッチやコンセントまわりに防気カバーを設置することも有効です。
さらに、キッチンの換気扇を使用した際に室内が負圧になり、床下や壁内の湿った空気を引き込まないよう、給気経路の見直しも必要です。換気計画を整えることで、湿気やカビ臭の再発を抑える効果が期待できます。
Y様のご依頼を受け、施工会社にもこれらの修理の必要性を説明しましたが、残念ながら納得していただくことはできませんでした。その後、Y様はカビによる健康被害も感じるようになり、最終的にはその家を売却する決断をされたそうです。
今回の事例では、単に天井裏へ断熱材を追加するだけでは根本的な解決にはなりません。床下の湿気、未施工だった基礎断熱と気密処理、壁内や天井裏への空気の流れ、そして既に繁殖しているカビへの処理を総合的に行う必要がありました。カビ被害は見えている部分だけを直しても再発することが多く、発生源と空気の流れを正しく調査することが大切です。
お客様の声











