渋谷区で毛細血管現象によって引き起こされた雨漏り　-3-

次の毛細血管現象による雨漏り事例は築37年の木造住宅にお住まいの渋谷区のA様
のケースです。A様のご自宅の屋根は瓦屋根で
棟部の冠瓦を銅線で巻いて固定し、葺き土の粘着力で、相互の瓦を一体化
していました。しかし、葺き土の流出で粘着力が弱まり、銅線も緩んでいたので、
冠瓦同士の隙間から毛細管張力によって雨漏りが発生しました。
さらに、冠瓦を支える「のし瓦」からの雨漏りもありました。
本来、のし瓦は外に向かって緩やかな傾斜をつけるのが鉄則です。
しかし、水平に設置されていたので、のし瓦の重ね部から侵入した雨水が
排出されずに内部に滞留したようです。
今回のケースでは冠瓦を下から銅線で引っ張って固定しました。これによって
瓦相互の緩みを少なくし、隙間を生じにくくしました。
のし瓦も穏やかな傾斜がつくように置きなおしました。
一般的に、瓦屋根では、まず老朽化するのが棟部です。その理由は、このケース
のように毛細管現象による冠瓦やのし瓦からの雨水の侵入があるからです。
毛細管現象による雨漏りを防ぐには、理屈上隙間をつくならければ済む話
なのですが、実際施工すると、建築部材の取り合い部ではどうしても
隙間が発生してしまいます。
万能な対策はなく、その現場に応じた対策を講じるしかないのが
現状です。