雨漏りの事例から学ぶ

住宅保証機構の保証事故件数は、2002年以降急激に増加しています。
これは2000年の住宅品質確保促進法の施行以降に、瑕疵担保保険の加入物件が
急激に増えたことによります。それに伴い、事故の件数も増加しています。
ただし、事故率自体は大きく変化していないようです。近年の部位別保証事故
件数を観ると雨漏りに関する保証事故の割合が極めて高いことが分かります。
「屋根・防水」13.7%、「壁・防水」65.3%と、両者を合わせると保証事故の
ほぼ8割を占めています。そしてまた、保証事故1件当たりの支払い金額は、
近年増加傾向にあります。2007年から2009年の2年間に約1.4倍にも増加したとの
ことです。これは、高気密住宅の増加による影響と考えられています。

瑕疵物件1 瑕疵物件2

高気密住宅とは、高断熱高気密住宅のことで、壁・床・天井などに断熱材を使って
高い断熱性・気密性を実現した住まいのことです。「暑さ、寒さのストレスから解放
されて、いつも快適に過ごしたい」という、理想の住まいを実現するということで、
最近人気が高まっています。
しかし、近年、その増加傾向にある高気密住宅では、侵入した雨水が長期にわたって壁
体内にとどまり、被害状況が室内側に現れにくいため、発見が遅れ、被害が拡大
する傾向にあります。住宅の高気密化は雨漏りの発見が遅れるリスクになりえるのです。
住宅は便利に進化しているのですが、その代償は何かしらあると考えて
メンテを怠らないことが大切ですね。